解散命令請求に関する宗教法人審議会議事録

10月13日に、文部科学省が家庭連合の解散命令の請求を東京地方裁判所に申し立てましたが、その前日の10月12日に、宗教法人審議会(以下、本審議会)が開催されました。
私は、文化庁に対して、本審議会の議事録の開示請求を行いましたが、結果は「不開示」の決定でした。
これは、9月7日に過料通知を行った際に開催された、9月6日の宗教法人審議会の議事録の開示請求に対する決定と同じ結果であり、その理由も全く同じでした。
少し長いですが、下記に引用します。

令和5年10月12日に開催された宗教法人審議会の審議の内容を記録した文書については、同審議会の申し合わせにより非公開とされている他、宗教法人「世界平和統一家庭連合」(以下、「本件法人」という。)につき、宗教法人法第78条の2第1項各号の一に該当する疑いについての具体的な内容及びこれを推測される情報並びに同法第81条第1項各号の一に該当する事由についての具体的な内容及びこれを推測させる情報が含まれている上、本件法人に関する個別具体的な内容となり、本件法人の活動・管理運営関する非公知の情報が含まれています。
これを公開すると、本件法人に対する誹謗・中傷に利用される恐れがあることから、これを公にすることにより、本件法人の自律性を阻害し、その活動を妨げることとなり、本件法人の宗教活動の自由などに係わる利益を害するおそれがあるため、法第5条第2号イに該当します。
また、上記文書は、所轄庁たる国の機関の内部および国の機関たる宗教法人審議会における審議・検討に関する情報であって、公にすることにより率直な意見の交換または意思決定の中立性が不当に損なわれる恐れがあるため、法第5条第5号に該当します。
さらに、上記文章は、報告徴収・質問権の行使及び解散命令請求についての着眼点などを推知させる情報が含まれており、これが公開されれば、今後の報告徴収・質問権の行使や解散命令請求に係る事務に支障を生じさせることから、これを公にすることにより、当該事務の性質上、当該事務の適正な遂行に支障を及ぼす恐れがあるため、法第5条第6号柱書に該当します。

審議会議事録の不開示決定通知文書の理由には、不合理な内容がいくつかあります。

① 同審議会の申し合わせにより非公開
議事録を非公開とする根拠は、同審議会内での申し合わせとのことですが、その申し合わせを行ったプロセス自体が非公開なので、非公開の理由が国民に明らかではありません。

② 公にすることにより、本件法人の自律性を阻害し、その活動を妨げる
そもそも解散命令請求自体が、家庭連合の自立性を阻害し、その活動を妨げているのですから、この理由は自己撞着となっています。

③ 公にすることにより率直な意見の交換または意思決定の中立性が不当に損なわれる恐れがある
具体的な委員名は伏せるなどの工夫により、「率直な意見の交換または意思決定の中立性」は確保できるはずです。宗教法人の解散命令請求という重要な判断を行うにあたっては、その審議の過程(全員一致なのかどうか、など)は開示するべきです。

④ 報告徴収・質問権の行使及び解散命令請求についての着眼点などを推知させる情報が含まれている
本審議会は、報告徴収・質問権に関する審議ではなく、その結果に基づいて解散命令請求を行うか否かの審議が行われたものです。報告徴収・質問権の行使及び解散命令請求についての着眼点が含まれているというのであれば、その部分のみ非開示とすれば足り、本審議会の議事録全体を非開示とする理由にはなりません。

10月12日開催の宗教法人審議会は、全会一致であったと報道されています。しかし、文化庁は各委員に対して、事前の根回しをしたことがわかっています。その際に、「解散命令請求を出さないと、内閣が飛んでしまう」という圧力がかかっていると報道されました。つまり、この回の審議会では、そもそも公正な議論がされなかった可能性があるのです。
https://www.sankei.com/article/20231012-XRSIQQ5YONNGDEQYH7MPXEP6JU/

宗教法人の解散命令請求は、信教の自由に関わるものであり、慎重な判断がもとめられます。しかし、行政における決定プロセスは、完全に非公開です。
裁判所による裁判も、非訟手続法によるため、これも非公開で行われます。
このような重要な決定については、そのプロセスは公正・公平なものとなるよう、国民の目にも明らかにすべきです。