日米戦うべきか

1932年4月に新光社によって編纂された「世界知識」増刊として発行され、戦後GHQにより発行禁止となった本です。1932年といえば、日本が満州を占領して満州国を設立させた年であり、これに対してアメリカが猛烈に反対しました。

この本を読むと、満州は日本にとって生命線と位置づけられ、これに反対するアメリカに対する反発する一方、アメリカの国力・兵力を冷静に分析し、アメリカと日本が戦争をすることはないだろう、という論調が主流であったことがわかります。

しかしこの本が発行された9年後に、日米間で戦争が始まりました。戦争前夜は、国民の世論としてアメリカを敵視し、軍部の強硬策を支持し、第二次世界大戦が始まったわけです。

あの戦争がどうして始まってしまったのか、私は時々考えます。冷静な分析を行って、それが国民に公表されていたのに、いつしか反対意見が許されなくなり、国家全体が無謀な戦争に駆り立てられてしまったのは、なぜなのでしょう。

一つ言えることは、国民的熱狂は危険だということです。世論とは逆の意見であったとしても、はっきりと言うことができる社会であるべきだと思います。